第5話 英文契約書は、伝統的には、長い長~い一つの文で成る!?

2009年6月29日

英文契約書の最初の部分を見れば、”This Agreement”で始まり日付や契約当事者などを記した部分に続き、普通1行程間隔を置いた横方向の中程に、”Witnesseth (That):”という言葉がある。この言葉は、普通の辞書には記載されておらず、英米人でも知らない人が多いようであり、また米国の”Plain English”(平明な英語)を書こうとの運動にも反するかもしれないが、それでも実務上は今なお健在であり現役である。

この言葉の”Witnesseth”は、動詞”witness”(証する)の三人称単数直接法現在の古形(語尾の-thが現代英語の-s, -esに当たる。)であり、この動詞の主語は、契約書の冒頭の”This Agreement”(本契約)であり、目的語は、この動詞に続く契約書の最後までの全部である。従って、”Witnesseth”の語のある契約書は、長い長~い一つの文で構成されるとも言える。ただし、これは伝統的な建前であって、実際には、”Witnesseth”の目的語の部分には、多くの条項が記され、多数の独立した文が書かれることになる。

また、”Witnesseth”を含む契約書の冒頭部は、英語では、普通”This Agreement, made and entered into between ABC and XYZ, “とされ、日本語としては、その”Witnesseth”も一緒にして、「本契約は、何々会社と何某会社の間で何年何月何日に締結され、以下のことを証する。」のように訳される。

ところで、英文契約書の冒頭部が、上記の英語と違い、”This Agreement”の次に”is”が挿入され、”This Agreement is made …”(本契約は、 ...締結される。) とされ、独立の文として完結されることもある。この場合、”Witnesseth”は、伝統的な契約書で主語となる”This Agreement”を欠くため、不要となる。なお、”Witnesseth”のない契約書は、全体が一つの文で成るとは言えないが、勿論それはそれで結構である。