第3話 ”there”に前置詞がくっ付いた単語も辞書を引くまでもない。

2009年6月15日

前回”here”に前置詞が結合した単語について説明したが、法律文書には、例えは”thereof”や”thereto”など、”there”に前置詞が結合した単語も頻出し、この種の単語も、辞書に記載されないものが多く、英米人でさえ見たことがないと言うものもある。

この種の単語は、辞書に有ろうが無かろうが、また辞書を見るまでもなく、「there + 前置詞 = 前置詞 + it(またはthat)またはthem(それ・それら)」のように解釈すればよい。すなわち、”there”は本来副詞であるが、解釈では、これを代名詞(itやthatやthem)のように考え、指示されるべき事物が単数か複数かなどにより必要に応じて訳を変えればよい。ただし、”it”や”that”や”them”などが指示すべき明確な名詞などがなく、その言葉に先行して記されることを漠然と示すこともある。因に、この種の語は、特に米国ではPlain English(平明な英語)の運動もあり、使用は避けた方がよい。

法律英語

用例として、例えば、契約書に、”ABC shall directly deliver all shipments of the Products to XYZ at the place designated by XYZ after customs clearance thereof.” と書いてあれば、”thereof” は、「of + it(またはthat)またはthem」であり、この場合「of the Products」となる。従って、全体の訳は、「ABCは、契約製品の通関後、XYZが指定する場所にて、契約製品の全積送品をXYZに引き渡さなければならない。」となる。また、例えば、”The undersigned agrees to execute all papers necessary in connection with this application and any continuing application thereof.”とあれば、”thereof”は、「of + this application」であり、訳は「この出願の」または「その」となる。従って、全体の訳は、「署名者は、この出願およびその継続出願に関し、必要なあらゆる書類に記名調印することに同意する。」となる。